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書宗巻頭言集

〈本書編集後記より〉今さら申し上げるまでもなく、先生の語られることは、内容が大変広範囲にわたっています。書の本質、書の習い方を初め、諸芸道、動植物、人生観等々、それぞれへの関心、観察力の深さに驚かされます。
編集に当たっては、この多岐にわたる話のどこに焦点をしぼったら良いかが最大の課題であったわけですが、全体を通じてみますと、様々な登場人物の中で、何といっても多く出てくるのは、鳴鶴、一六、梧竹、蒼海、木堂、天来、海鶴、尚亭、秋鶴等々の明治以来の専門大家達であることに気付きます。
更に、先生御自身、昭和29年4月号にて、この事につき、力をこめて述べられています。
「…何が、書のすぐれたものであるかということを、出来るだけはっきりさせておかないと、書は益々混乱し、低下堕落して、正道ついてに、地を払うに至ることがないとは言い切れません」と。
これによって、平成3年書宗院展会期中に翠邦先生に図版用の作品につきお計りしたところ、即座に御快諾下さり、小生等の不備の点もご教示いただき、おおよその原案が、その場で決まりました。
作品の選択に当たっては、暑い最中、翠邦先生自ら、龍穏寺の書院までお登り下さって、運び出していただいたとの事、恐縮の至りに存じております。

関根緑風、高橋蒼石

早わかり桑原翠邦

早わかり桑原翠邦 〈本書あとがきより〉翠邦は「死後5年経っても忘れられない」ことを、一つの目標としていたフシがある。が、5年どころか10年経っても、全国50ヶ所で展覧会を開いて頂いたことに、翠邦は「望外」の感慨を持ったに違いない。
しかし、翠邦と会ったことのない人たちも増えている現状から、翠邦を知って頂く取り組みにしっかり入らなくては、という動きが高まり、この小冊子発刊の企画となった。
小冊子ながら、翠邦の概略がさっと見渡せるようなものという趣旨は良かったが、実際は難航につぐ難航で、ずい分遅れてしまった。問題は、何を残すかより、何を切るかということで、これはどれだけ考えても結論の出ることではないから、今回思い切って発車に踏み切ることにした。
万般を諒せられ、ご吹聴の程を。

桑原呂翁

桑原翠邦遺業展作品集

〈本書あとがきより〉翠邦先生の作品は、一点拝見すれば、そこには先生の「書の理念」が盛りこまれている。極論すれば、一点だけ拝見すれば全てわかるのが、先生の書である。しかし、一点拝見すれば、さらに別の作品を拝見したくなる。これが先生の書の魅力である。 「私の書に対する考え方・姿勢は、本筋では昔から今日まで一貫して変っていない、今、昔のものを読んでみて改めてそう思う。」と”桑原翠邦書宗巻頭言集”刊行の前後に、ふと話されたことがある。考え方・姿勢が不変であれば、作品の根幹を成すものもまた、不変でないはずがない。
一点拝見すればこと足りる先生の作品を、遺業展では百点以上、時代・形式・書体を考慮して展示する。先生の書に対する「不変の理念」とは何であったかを、この機会に確認したい。それができれば、遺業展も本作品集も、十分にその目的を達したことになる。

桑原翠邦遺業展実行委員長 秦大猷

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